岐阜県食品科学研究所

研究開発

岐阜県食品科学研究所では、地域に根ざした研究開発を推進しています。

先進的研究開発
新素材開発、新規機能性付与など、企業が行うにはリスクの大きい先端的な技術に関する研究開発を行います。
地域密着型研究開発
新商品開発、製造プロセスの改善など、現在の製造現場で実用化可能な技術・製品に関する研究開発を行います。
共同研究
当研究所と企業が、それぞれの人材、設備、資金等を有効に活用し、技術や知識を交換しながら製品・技術開発を行います。
受託研究
企業が抱える技術的な課題や企業で実施不可能な研究課題に対し、委託を受けて研究を実施します。
研究会活動
研究会を組織し、企業と意見交換をしながら研究開発を進めています。

令和7年度研究課題

香り高い新しい酒造りプロジェクト

岐阜県産酒の魅力向上に資する新酵母の開発
 県産清酒に華やかな香りの魅力を加えるため、果実様の香り成分「カプロン酸エチル」を高生産する酵母を育種するとともに、県産酒米と新酵母を組み合わせた醸造技術を開発します。

新価値創造によるサステイナブル社会推進プロジェクト

有用微生物の探索と機能性食品の開発に関する研究
 乳酸菌等を利用した食品開発は、嗜好性や保存性の向上に止まらず、その代謝産物ならびに菌体成分の機能性が求められる時代になっています。本年度は主にGABA富化乳酸発酵食品の開発と機能性表示食品化を目指した取り組みを行います。

地域密着型研究

植物工場野菜の機能性向上
 ベビーリーフの鮮度保持機能を向上させるための開発を行います。また、トマトの付加価値向上として、当研究所が有するGABA富化技術を応用し、機能性成分が富化されたトマトの製品化を目指します。
食品機能性成分の簡易的な類推手法の開発
 食品に含まれる栄養成分や機能性成分を調べるには、煩雑な抽出作業や機器による分離・測定が必要なため、簡易的な測定により、成分量が類推できる手法を開発し、含有量の継続的な管理への有用性を検討します。
多様な商品設計を可能とする酒造技術開発
 多様な商品設計を可能とするために、「米の溶解性向上に関する技術開発」と「新規酵母による醸造技術開発」に取り組みます。本年度は、ミネラルが米の溶解性に与える評価と、野生酵母の採取を行います。
和菓子の食感改善に向けた老化抑制に関する研究
 和菓子の販売機会の拡大や廃棄量の削減のため、時間経過による食感劣化の改善と賞味期限の延長を目指します。今年度は、食感劣化の一因である澱粉老化の評価法を検討します。

代表的な研究課題

飛騨ホウレンソウ加工品の機能性成分に関する研究

研究実施期間等
平成29年度(受託研究)
研究概要
飛騨地方は涼冷な気候を利用した“夏秋ホウレンソウ”の産地であり、高山市は10年以上も全国一の生産量(8,270t/2017年)を誇っています。ミチナル株式会社(高山市)からの受託研究により、飛騨産の冷凍ホウレンソウに“光の刺激から目の網膜を保護する成分「ルテイン」”が高含有(製品100g中10mg以上含有)されていることが明らかになり、機能性表示食品への届出を支援しました。
ルテイン高含有IQF冷凍ホウレンソウ「ルテイン ルンルン ほうれん草」(届出番号:E647)/写真提供 ミチナル株式会社

飛騨特産エゴマを用いた機能性調味料の開発

研究実施期間等
平成27~31年度(2020清流の国ブランド開発プロジェクト)
平成27年度(産学官共同研究助成金事業/(公財)岐阜県研究開発財団
研究概要
エゴマオイルブームにより大量に廃棄処分されていた搾油済み子実の有効活用を図るため、(有)糀屋柴田春次商店(高山市)と共同研究を実施しました。独自の発酵・醸造技術により、搾油済み子実に多く残留するα-リノレン酸からガン細胞の増殖抑制効果が報告されるリノレン酸エチルを醸成・高含有させた発酵調味料(米味噌比で20倍以上に相当する555~858mg/100g)の開発に成功し、ドレッシングタイプ調味料「飛騨えごまの醸しだれ」として商品化を達成しました(平成29年10月発売)。
飛騨えごまの醸しだれ

イソフラボン高含有大豆もやし及び大豆もやし由来機能性食品等の開発

研究実施期間等
平成26年度(受託研究事業)
研究概要
日本初の生鮮機能性表示食品「大豆イソフラボン子大豆もやし」(届出番号A80)の機能性強化を図る目的で、(株)サラダコスモ(中津川市)と共同研究を実施しました。新製法(特許出願済)により、従来のもやしに比べてイソフラボン含量を約2.4倍に強化することに成功し、大豆スーパースプラウト「ベジフラボン」(機能性表示食品届出番号A206)として商品化を達成しました。
ベジフラボン

G2酵母の開発

研究実施期間等
平成28~令和2年度(拠点結集による地域産業新展開プロジェクト)
研究概要
日本酒の魅力の一つは果実様の香りであり、最近はリンゴ様の香りが好まれています。この香りは酵母により作られる「カプロン酸エチル」に由来します。従来の岐阜県酵母「G酵母」をもとに、カプロン酸エチルを3倍以上の濃度に高められる新酵母「G2酵母」を開発しました。
活用実績等
平成30年度に県内15酒造場で清酒の販売が開始され、令和2年度までの3年間で24酒造場に使用されました。G酵母シリーズの一つとして、引き続き県内酒造場へ頒布を行っています。
微生物資源の頒布
 研究成果普及のために研究開発で育種した清酒酵母を県内食品企業へ頒布します。詳細は微生物資源の頒布についてをご覧ください。
「G2酵母」を使用した清酒