岐阜県食品科学研究所

研究開発

岐阜県食品科学研究所では、地域に根ざした研究開発を推進しています。

先進的研究開発
新素材開発、新規機能性付与など、企業が行うにはリスクの大きい先端的な技術に関する研究開発を行います。
地域密着型研究開発
新商品開発、製造プロセスの改善など、現在の製造現場で実用化可能な技術・製品に関する研究開発を行います。
共同研究
当研究所と企業が、それぞれの人材、設備、資金等を有効に活用し、技術や知識を交換しながら製品・技術開発を行います。
受託研究
企業が抱える技術的な課題や企業で実施不可能な研究課題に対し、委託を受けて研究を実施します。
研究会活動
研究会を組織し、企業と意見交換をしながら研究開発を進めています。

令和3年度研究課題

地場産業の技術継承・新商品開発プロジェクト

県産米を有効活用した岐阜ブランド商品の開発
 岐阜県内で栽培されている米を使用した新規の商品開発や用途開拓を行い、岐阜ブランドの向上を目指します。

1)新規酒米の評価と清酒製品の開発

 昨年度は中山間農業研究所で開発された酒米系統「飛系酒61号」について、酒米分析や試験醸造を実施しました。本年度は「飛系酒61号」からの選抜株について、酒米分析や試験醸造を実施し、美濃地域での栽培適性を評価します。

2)LGCソフトを用いたRP高含有発酵食品の開発

 岐阜県で栽培されている低グルテリン米「LGCソフト」の特性を活かして、レジスタントプロテイン(RP)を高含有する発酵食品の開発を目指します。昨年度は殺菌工程がRPに与える影響について検討しました。本年度は製麹方法がRPに与える影響について調査し、RP減少量が少なくなる製麹方法を検討します。

3)ハツシモα化米粉の特性評価と米粉パンへの利用

 岐阜県で最も栽培されている「ハツシモSL」の加工食品への用途拡大を目指し、昨年度は製粉条件による米粉の特性を評価しました。本年度も米粉の特性についての評価を行い、製パン性への影響について検討します。

新価値創造によるサスティナブル社会推進プロジェクト

有用微生物の探索と機能性食品の開発に関する研究
 乳酸菌等を利用した食品開発は、嗜好性の向上のみならず、その代謝産物ならびに菌体成分の機能性が求められる時代になっており、現に機能性表示食品等に於いては、発酵微生物とその代謝産物によるものが多数存在しています。本年度は主に県内資源から乳酸菌等の有用微生物の単離・取得を行います。

重点研究開発

海外展開に向けた県産酒類の開発
 酒類の海外展開においては商品の品質だけでなく、醸造地域や、地元原材料への関心が高まっています。そこで、海外消費者への訴求のため、岐阜県独自の清酒用酵母の開発や、地元産原材料を活用した酒類の開発を目指します。本年度は、特に蜂蜜を利用した醸造酒の検討を行います。

地域密着型研究

もやしの新機能開発
 大きな市場を有するもやしの新機能開発として、緑豆もやしの食感向上技術の開発を行います。また、もやしの機能性評価のため、高機能イソフラボン産生腸内細菌を検出する遺伝子マーカーのを開発し、機能性食品開発に資する臨床検査用ツールとして提供します。

1)もやしの食感向上技術の開発

 もやし全体(緑豆もやし、大豆もやし、小豆もやしの合計)の85%の市場規模を占めている緑豆もやしは、健康機能成分に乏しく、付加価値向上による競争力強化が切望されています。本研究は、もやしの嗜好性の主要因である食感に着目し、本年度は食感の客観的な評価技術を確立することを目指します。

2)イソフラボン代謝腸内細菌の検出技術開発

 更年期障害等の緩和に期待される高機能イソフラボン(エクオール)は腸内細菌の代謝作用により産生されますが、その代謝活性には個人差があります。本年度は、エクオール産生腸内細菌検出のための遺伝子マーカーを開発し、妥当性を評価することを目指します。

代表的な研究課題

飛騨ホウレンソウ加工品の機能性成分に関する研究

研究実施期間等
平成29年度(受託研究)
研究概要
飛騨地方は涼冷な気候を利用した“夏秋ホウレンソウ”の産地であり、高山市は10年以上も全国一の生産量(8,270t/2017年)を誇っています。ミチナル株式会社(高山市)からの受託研究により、飛騨産の冷凍ホウレンソウに“光の刺激から目の網膜を保護する成分「ルテイン」”が高含有(製品100g中10mg以上含有)されていることが明らかになり、機能性表示食品への届出を支援しました。
ルテイン高含有IQF冷凍ホウレンソウ「ルテイン ルンルン ほうれん草」(届出番号:E647)/写真提供 ミチナル株式会社

飛騨特産エゴマを用いた機能性調味料の開発

研究実施期間等
平成27~31年度(2020清流の国ブランド開発プロジェクト)
平成27年度(産学官共同研究助成金事業/(公財)岐阜県研究開発財団
研究概要
エゴマオイルブームにより大量に廃棄処分されていた搾油済み子実の有効活用を図るため、(有)糀屋柴田春次商店(高山市)と共同研究を実施しました。独自の発酵・醸造技術により、搾油済み子実に多く残留するα-リノレン酸からガン細胞の増殖抑制効果が報告されるリノレン酸エチルを醸成・高含有させた発酵調味料(米味噌比で20倍以上に相当する555~858mg/100g)の開発に成功し、ドレッシングタイプ調味料「飛騨えごまの醸しだれ」として商品化を達成しました(平成29年10月発売)。
飛騨えごまの醸しだれ

イソフラボン高含有大豆もやし及び大豆もやし由来機能性食品等の開発

研究実施期間等
平成26年度(受託研究事業)
研究概要
日本初の生鮮機能性表示食品「大豆イソフラボン子大豆もやし」(届出番号A80)の機能性強化を図る目的で、(株)サラダコスモ(中津川市)と共同研究を実施しました。新製法(特許出願済)により、従来のもやしに比べてイソフラボン含量を約2.4倍に強化することに成功し、大豆スーパースプラウト「ベジフラボン」(機能性表示食品届出番号A206)として商品化を達成しました。
ベジフラボン

泡なしG酵母の開発

研究実施期間等
平成21~22年度(地域密着型研究課題)
研究概要
岐阜県オリジナルの清酒用酵母「G酵母」の泡立ち性を低減した「泡なしG酵母」の開発に成功し、県下清酒メーカーによる市販酒化を達成しました。「泡なしG酵母」の特長として、従来のG酵母のように高泡を形成しないため生産性を30%向上できるほか、低温での発酵力が強く、バナナ様の華やかな香りとすっきりした味わいの清酒が製造できます。
活用実績等
H23/14酒造場で活用され73.1キロリットル(アルコール20%換算)、H24/22酒造場で活用され215.6キロリットル(アルコール20%換算)を課税出荷し、以降も活用されています。
微生物資源の頒布
 研究成果普及のために研究開発で育種した清酒酵母を県内食品企業へ頒布します。詳細は微生物資源の頒布についてをご覧ください。
「泡なしG酵母」を使用した清酒